限りなくネイティブの英語発音に近づく3つのポイント

英語発音を良くすること=発音記号を正確に読むこと、ではない

英語の発音は、(a)個々の音を正確に発音することと、(b)それらの音を組み合わせて上手に発音することの2つのステップができて、はじめてネイティブの発音に近づける。

事例として以下の音声学の実証研究がある。上記aはできるがbはできないグループ甲群と、逆にaはできないがbはできるグループ乙群の発音の音声を英語ネイティブに聴かせて、「どちらがよりネイティブらしく聴こえるか?」を調査した。答えは乙群の方がネイティブらしく聴こえるという回答が甲群を超過した。

すなわちこれは、比較的には、全体的にスムーズに話すことの方が、個々の音を正確に話すよりもネイティブに近い発音を実現する上では重要であることを意味している。

出典:「日英語の比較―発想・背景・文化」日英言語文化研究会 編集

フィードバック・ループを繰り返す

物事は何かをトライして、それに対して成功・失敗がある。失敗したなら原因の仮説を立て、またトライしそれを繰り返す。これをフィードバック・ループという。PDCAやOODAに意味としては近い。

例えば、ゴルフは自分が狙ったところにボールが飛んだかがはっきりする。狙いとズレたら仮説を立てて修正を加える。その意味で明確なフィードバックが得られる。逆に暗闇の中でゴルフをいくら練習しても上達することはないだろう。フィードバックが得られないからだ。

発音矯正の場合はネイティブからフィードバックを得ないと自分の発音の正確・不正確が判明しない。したがって、発音矯正に限れば成人以降はスクールに通う以外に解決方法がない。

また、仮にネイティブの友人がいたとして、彼らに聞けば正誤は判別できるが、具体的に何が違うかだとか、どのようにすれば改善されるかというノウハウや知識は通常、音声学専修者でない限り持ち得ない。

したがって英語発音矯正スクールの肩を持つわけではないが、スクールに通わないと問題解決はしない。ちなみに講師は英語圏出身でなければ意味がない。

教科書に書かれていないノウハウが存在する

多くの学問がそうだが、戦後は若い研究者・大学院生が欧米に渡り、現地の大学の図書館で写経・翻訳して日本に持ち帰ることにより学問は発達した。当時はコピー機もなかったので、手書きで写すほか手段がなかったのである。

ここで大元になった音声学は、非常に荒い表現をすれば、英語ネイティブのための英語音声学であり、非英語ネイティブはあまり念頭に置かれていないと思われる。もちろん比較対象として英語以外の言語もでてくるが、出発点は英語である。

ここで英語ネイティブは何かを隠しているわけではなく、気づいていないだけなのだが、非英語話者が抱える表面化していない独特なイシューは存在している。

たとえば、特にアメリカ英語がそうだが、顔や喉の周りの筋肉は通常は弛緩させている。それに比べ日本語話者は筋肉が緊張している。そうなると日本語話者の英語は硬い音になり、英語とは似て非なるものになる。他にも呼吸法や母音を押し出す感覚も異なっているが、これらは音声学の教科書的には記載されていない話なのである。これらの問題をクリアしないと、どうしても発音は英語らしくならないのだ。